囲碁棋譜管理ソフトウェア「PocketGoban」の活用  

                      

                           氣賀康夫2012.4.3.

棋譜を用いて囲碁の勉強をすることは、上達のための非常に有効な方法です。



棋譜というのは、もともとは、一局の碁の記録として、碁盤のデザインが印刷された碁罫紙と呼ばれる用紙に、着手の手順を数字で書きこんだものを指します。これを左手に持って、右手で石を持って、碁盤に石を並べて、対局の進行を再現するというのが伝統的な勉強方法でした。プロはみな、この方法で囲碁を勉強します。


 

画像は、囲碁三田会オリジナル碁罫紙の英語版)

今日では、コンピュータ技術の発達のお陰で、棋譜をデータとして保存することが可能です。そして、とても便利なソフトウェアがあり、それを活用すると一局の碁をパソコン画面上にただボタンを押すだけで、一手一手表示して鑑賞することができます。この場合、次の着手がどこか??をいちいち確認する必要がないので、非常に効率的です。これからは、この勉強法が一般的になるでしょう。

そこで、多くの方々のご要望にお応えするために、ソフトウェアPocketGobanの使用法を簡単に説明を以下にまとめました。

この説明を参考にして、ぜひこのソフトウェアを使ってみてください。なお、不明な点についてはご遠慮なくご質問ください。


  1. PocketGobanとは?


PocketGobanは京都にお住まいの政光順二氏が作製した優れた囲碁棋譜管理ソフトウェアです。政光氏は氣賀の親しい友人です。政光氏が親切にこのソフトウェアを囲碁フアンに無料で提供することにしましたので、我々はただでこれを自由に使用することができます。



PocketGoban
をダウンロードするには?


インターネットで簡単にダウンロードできます。そのためには、Yahoo とかGoogleとか便利な検索方法を使って「PocketGoban」(Gが大文字であることにご注意ください。)で検索してください。すぐにダウンロードするための案内ページに誘導されます。そこからダウンロードの手続きをしてください。



  1. PocketGobanはすぐ動きますか?

ダウンロードされたPocketGobanのファイルのアイコン(パソコン上に表示されるマーク)がテレビのようなマークである場合には、それは圧縮凍結したファイルであり、これはそのままでは動きません。このファイルを解凍する手続きが必要です。普通、アイコンをダブルクリックするだけで自動的に解凍が行われます。解凍されたファイルがパソコン画面上に出てきます。



  1. PocketGobanのインストールは簡単ですか?

PocketGobanのインストールのための圧縮ファイルのアイコンはテレビのような図柄(画面は黒い)で名称の表示はpg0999w2です。これはダブルクリックすると自動的にインストールが始まります。

(画像3つは、インストールに際し、よく出てくる警告など。)




インストールが終わると PocketGoban 起動用のアイコンが表示されるでしょう。この PocketGoban のアイコンは黄色い碁盤の図案であり、上のお饅頭のような巨大な白黒の石が乗っかっています。 名称は PocketGobanと表示されるでしょう。 最近は、サービスがよくなり、ダウンロードするとすぐにこのアイコンが表示される場合もあります。







  1. PocketGoban の立上げる方法は?

PocketGoban を立ち上げる方法は、黄色い碁盤マークのアイコンをダブルク リックすることです。それで大きな画面に現れます。

PocketGoban を終了するには、画面の右上隅にある ×印をクリックします。



  1. PocketGoban の使い方は?

ocketGoban をインストールすると、傍らに PocketGoban.txt というテキストファイル(文書ファイル)が作製されることになってい ます。これを開くには「メモ帳」というソフト( WINDOWS には必ず備わっています。)で十分です。これが PocketGoban の使用説明書です。これをよく読めば使い方がわかります。でも、読むのが面倒でしたら、以下の説明でやりながら覚えてください。

  1. 棋譜ファイルとはどういうものですか?

棋譜をファイルにする形式にはいろいろなパタンがあるのですが、PocketGobanが得意にするのは、SGFという形式のファイルです。(拡張子として、.sgf と表示されます。)この形式のファイルは文字情報であり「メモ帳」などで直接見ることもできます。例えば、メモ帳で開いて見ると、次のような内容になっています。

―――――――――――――――――――

(;FF[1]GM[1]AP[PocketGoban Ver 0.999]

SZ[19]HA[4]PB[不破達雄]PW[氣賀康夫]

DT[2012.3.23.終局]

PC[AKIAボード碁]RE[黒勝ち]KM[0]

AB[pd][dp][pp][dd]C[不破さんが勝利に満足することなく、碁の内容に関心を持っておられるので、一局を検討してみます。]

;W[nq];B[qn];W[jp];B[gq];W[fc];B[hc];W[cc];B[cd];W[dc];B[ed]

;W[fd];B[fe];W[ci];B[ck];W[df];B[ef];W[dg];B[de];W[hd];B[ec]

;W[eb];B[fb]C[白(19)は落手であり、(20)(22)はそれを見事にとらえました。]      ―以下略―

―――――――――――――――――





  1. PocketGobanの画面の説明をお願いします!

では、まず、PocketGobanの画面について簡単に説明しておきましょう。

大きな画面の右側におおきな碁盤が表示されていて、その左寄りにいくつかの表示がありますね。

    1. 一番上は青い帯の欄で、これはタイトルです。一番右に−□×のマークがありますね。

「−」は画面を一旦非表示にするスイッチです。

「□」は表示を画面一杯に大きく表示するためのスイッチです。

×」はpocketGobanを終了するためのスイッチです。



    1. 二行目は「ファイル」「移動」「オプション」の三つです。

「ファイル」は作成した棋譜ファイルを別途記録として保存する場合、あるいはすでに保存されている棋譜ファイルを呼び込んで開く場合に使います。「新規」指定すると、盤面がまっさらになります。

「移動」のスイッチはあまり使いません。


「オプション」では、着手の数字の表示を変更する場合などに使います。


    1. 三行目にいろいろな印がありますが、次のものが大切です。これは棋譜ファイルを読み込んだら、手を進行させたり、戻したりするためのスイッチの役割を演じます。

         ↑↑     最初に戻る

         ↑10     10手戻る

      ↑      一手戻る


     一手進む

10     10手進む

↓↓     最後まで進む

    1. 四行目は次のようになっています。

情報    対局についての情報を書き込むとき使います。

コメント  一手ずつコメントを書き込むことができ、また書かれたコメントを表示することができます。

ツリー   これはあまり使いません。

入力    一手ずつ手を入力するときに指定します。

計算    終局図で双方の地を計算させるときに役に立ちます。

コピー   これは表示された棋譜の一部または全部を別にコピーして貼りつけたりするときに使います。この機能を駆使すると、WORDを活用して、解説などを書くことができます。


  1. 棋譜ファイルを作るのはどうすればいいのですか?

   新聞や雑誌の棋譜を元に、棋譜ファイルを作るのは簡単です。

PocketGobanを起動し、「ファイル」のスイッチで「新規」とし、19路盤を表示します。そして、「入力」のスイッチをONにしておいて、ポインタを着手の点に運び、クリックすると、その点に石が表示されます。

白黒の石が自動的に交互に現れます。

置き碁の場合の置き石は、入力画面の「手番の着手」を「黒石」に一旦変えて入力します。


白番黒番を逆にしたいときのためには、「手番変更」というボタンがあります。

そして、最後まで入力が終わったら、「ファイル」の「名前をつけて保存」の手続きを進めます。保存の場所は指定が可能です。デスクトップに一旦保存し、後でフォルダー(『棋譜集』など名称がいいでしょう。)に移動して整理するのが便利だと思います。

自分が打った碁について手順を覚えているときは、それを一手ずつ入力してそれを保存することもできます。級位者は最初は10手、20手しか覚えられないかもしれませんが、その気になって覚えようとすると30手、50手はすぐ覚えられるようになります。初段になるころには100手くらいは自然に覚えられるようになるでしょう。覚えるコツは着手の場所を覚えようとするのではなく、盤面で自分が打ったとき、あるいは相手に打たれたとき、どういうことを感じたかをストーリーとして思いうかべることです。最初は、自然に覚えているところまでを記録して、最後に『以下略』と書き込んでおく程度でいいと思います。



  1. 棋譜ファイルをEメールに添付して送信できますか?

棋譜ファイルはそのままEメールに添付手続き(簡単なのは棋譜ファイルのアイコンをEメールの文面にドラッグ&ドロップの手続きすることです。)すれば、簡単に誰にでも送付することができます。

棋譜をEメール添付で受け取ったら、それを一旦デスクトップに移動し、(ドラッグ&ドロップで)後から『棋譜集』のフォルダーに移せばいいでしょう。


    11. 棋譜ファイルを呼び込むにはどうすればいいのですか?

PocketGobanを起動し、ファイルで「開く」を指定します。そして、棋譜ファイルが記録されているフォルダーを指定し、最後に、保存されているファイルの名前を指定します。棋譜が呼び込まれると、一番上の青い欄にその名称が表示されます。(例えば「越智氣賀2012.3.2..sgf PocketGoban」という具合です。)


12.棋譜のコメントはどのようにすると見られますか?

PocketGobanで棋譜を鑑賞するときは、「コメント」のスイッチをONにしておいて、あとは「↓」で一手ずつ進行することができます。すると、コメントがある場面では、左のコメント欄に文章が表示されます。それを読んでください。

コメントに自分で文章を書き込むこともできます。それには、「コメント」欄にある「編集」のスイッチを押し、そこの「コメント」の欄にワープロの要領で文章を書けばいいのです。感想を書き込むのも有意義ですし、

これができるようになりますと、棋譜ファイルに文章を書き込んではEメールで文通するとき添付することによって、局後の検討ができることになります。意見の交換も、質問→回答を繰り返すこともできます。


13.PocketGoban以外にもソフトウェアはありますか?

   はい、いろいろあります。フィンランド人の作製したGoWriteというソフツウェアはシェアウェアと言い、試用は無料で、常用するときは料金を支払って下さい!というゆるやかな有料のソフトウェアです。常用しているかどうかは誰もわかりません。これもたいへん優れたソフトウェアです。

   Multigoというソフトウェアがあります。これは無料です。日本語の取り扱いにはPocketGobanの方が便利ですが、その他は、遜色がありません。

   その他にも無料のソフトウェアはまだまだあると思います。

有料の市販ソフトウェアにもいいものが沢山あると思います。「極め」というソフトウェアが便利だそうです。




14.PocketGobanの使い方について、さらに知りたいときはどうすればいいでしょうか?

   まず、PockeGobanを立ち上げて、いろいろいじりまわしてください。それでだんだんに慣れで、自ずと使い方がわかってきます。

なお、前述のように使用説明書がテキストファイルで作られるはずですから、それに一度、目に通しておくのもお勧めです。

最後に、ベテランの方々に質問するという方法があります。

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